【教員向け】”Scratch”を活用して授業にプログラミングを取り入れよう!(小学 算数の巻)
「プログラミング教育の必修化って何を教えればいいの?」
「プログラミングの教材ってどんなものがあるかわからない!」
いよいよ2020年4月から、小学校でプログラミング教育の必修化が始まります。
目前に迫っている中で「具体的な指導方法や教材がないのに、どうすればいいの!?」と困惑している教員の方々に向けてこの記事を書きました。
こんにちは!
Webプログラマ兼コワーキングスペース管理人の五島聖也(@s_goji)です。
私は毎月Coder Dojoというプログラミング学習の場でメンターとして小学生にプログラミングを教えています!
「パソコンやタブレットを操作してプログラミングを授業に取り入れるなんてできるのかな・・」
今回は、そんな不安を抱えた教員の皆様にプログラミング入門のScratchを取り入れた、活用方法を書いていきます!
参考にしていただければ幸いです。
※2020年2月現在の情報を記載しております。
目次
なぜ??プログラミングが必修となるワケとは!?
文部科学省が発表している小学校プログラミング教育の手引によると、
「様々な生活の場面で活用されているコンピュータは、命令(プログラム)を与えることで動作しているという仕組みを理解することで主体性を得られる。」
「可能性を秘めた子ども達にそれらを理解してもらい、うまく活用していく力を身につけることで活躍できるきっかけを見つけ出す。」
といった内容がはじめに書かれています。
プログラミングと聞くとどうしても英語の羅列をイメージしがちですが、あくまでそういった言語やコードを学ぶという意味ではありません!
プログラミング的思考を養うための必修化となります。
そもそもプログラミング的思考とはなにか?
プログラミング的思考に関する記事はいくつもありますが、簡潔にざっくりとまとめると、
【物事を正しく理解し、物事を順序立てて捉える】
ということです。
簡単な例を挙げると、
「AとBを組み合わせればCが動くはず」
↓
「Cが動かない。」
↓
「なぜ動かないのか?どの箇所に原因があるのか?」
といった問題解決に向けての論理的な思考を身に付ける能力を養うことがプログラミング教育の目的です。
教育現場の現状
私自身は教員という立場ではない為、現場での内情はわかりかねますが、以前参加した勉強会では現役の教員の方々とお話をさせていただく機会がありました。
その中で挙げられた主な問題点は、2つ。
予算と教材です。
教育の手引にも書かれている通り、プログラミング教育の具体的なカリキュラムなどは決まっておらず、各学校の創意工夫に委ねられています。
実際は限られた予算内でのプログラミング教育に限界があり、1人1台タブレット端末が与えられるクラスもあれば、グループで1台、あるいは数人で1台など学校によってもバラバラのようです。
また、使用する教材によっても学習方法や生徒達の授業に対する興味・関心が変わってきます。
各生徒達の好奇心や探究心を保ちつつ、本質的な授業の内容も理解できる為の教材が必要となります。
そんな中で、
「有料の教材は気が引けてしまう・・」
「自分が使いこなせるかもわからないのに、有料ソフトの使用申請なんて出せるわけがない・・!」
といった不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、この2つの問題をクリアしたプログラミング学習ソフト”Scratch”を今回の記事のために作成したサンプル事例と共にご紹介いたします!
答えがないからおもしろい!楽しみながら学べる”Scratch”
プログラミング入門として世界中で利用されているのが、この無料プログラミング学習ツールの”Scratch”です。
私がメンターとして参加しているCoder Dojoでも、この”Scratch”を中心に参加してくれている子ども達が自由に楽しくプログラミングを学んでいます。
公式HPによると、対象年齢は8歳から16歳の子ども向けに開発されましたが、今やすべての人々がプロジェクトを創作して共有を行っています。
使い方はとてもシンプルで、それぞれ命令の書かれているブロックを移動させながら組み合わせることで、命令に応じた動作をさせるというものです。
アカウントなしでも”Scratch”を利用することは可能ですが、作品を保存・共有したい場合などはアカウントを作成しておくことをオススメします。
”Scratch”を活用して正多角形の作図に挑戦!(小学5年生の範囲)
まずはじめに取り組んだ作品は、教育の手引にも書かれている、小学5年生の範囲となる、正多角形の作図に挑みました!
まずは、正多角形を描くにあたって必要な情報をまとめます。
1.全て等しい辺の長さ
2.全て等しい内角の角度
3.正○角形→○に応じた頂点の数
これらを理解することで、”Scratch”を利用して何パターンもの正多角形を作ることが可能です。
ちなみに今回作成したのはこちらの2パターンです。
内容は至ってシンプルなものになります。
【緑の旗をクリックすると猫が動き出し、指定した正多角形を描いてくれる】というプログラム。
移動時間を統一することにより辺の長さが均等になり、旋回する角度を指定することにより全ての内角が均等になります。
最後に切り返しの回数を、作図したい多角形(正八角形なら8、正十二角形なら12)に合わせて変更すれば正多角形が完成します。
”Scratch”を活用していろいろな三角形を作ろう!(小学3年生、5年生の範囲)
次に作成したプログラムは、好きな形の三角形を瞬時に作ってくれるプログラムです! こちらのサンプルも内容はとてもシンプルです。
一辺の長さは事前に統一されており、スペースキーを押すとマウスの位置に頂点が伸びて、三角形が完成します。
小学2年生頃から徐々に図形を取り扱った授業が増えていくと思いますが、今回作成したようなプログラムを活用することでいろいろな応用に使えます。
いろんな形の三角形をすぐに作り出すことができ、辺の長さ・角度や面積など一つの条件を後付けすることでそれぞれの範囲に応じた学習ができます。
今回ご紹介するサンプル事例の中では一番授業に取り入れやすいものではないかなと思います!
”Scratch”を活用して猫が倍数を教えてくれるプログラムを作ってみた!(小学5年生の範囲)
最後にご紹介するのは、会話型のプログラムです! 猫に数字を聞かれ入力を行うと、倍数を教えてくれるというものですが、10,000以上の数字になると、「わからない!」と言われてしまいます。
このように対話形式やクイズ形式にすることで、生徒達の興味を引きつけることができます。
中を見てもらうとわかりますが、ブロック自体は上述した2つのサンプルに比べると少し長くなっています。
色がガチャガチャしている上に、ブロックが長いとなると、見たときにウンザリしてしまうかもしれませんが、同じ内容を繰り返しながら数字を少し変えている為です。
まとめ
プログラミング教育の本来の狙いはプログラミング思考を養う為であり、プログラミングそのものを学ぶわけではありません。
そして、方法やカリキュラムも各学校に委ねられています。
そんな中で、数あるプログラミング教材の中から”Scratch”を使い、小学生の算数に活かせるようなサンプル事例をいくつか挙げてみました!
今回は小学5年生の範囲を中心にプログラムを作成しましたが、どちらも簡易的なブロックの組み合わせで作業時間も2~30分程度です。
生徒達も実際に操作をしながら学習することでプログラミング思考を養いつつ、各科目の本質的な内容の理解がしやすいのではないでしょうか?
”Scratch”は各科目に順応していることから教材として取り入れている学校も徐々に増えています!
参考書なども多数出版されていますので、 ”Scratch”を活用して、それぞれの科目に活かしましょう!